就職や転職活動は、今後の人生に関わる大きなイベントです。
だからこそ、潰瘍性大腸炎のことをカミングアウトすべきかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
個人的には、自分の病気のことは面接時に正直に話すべきだと筆者は思っています。なぜなら、正直に話すことによって周りに理解を得られ働きやすくなるからです。
今回は、筆者の体験も交えながら、潰瘍性大腸炎と就職活動の関係について詳しくまとめてみたいと思います。
もくじ
就職活動で潰瘍性大腸炎のことを打ち明けるべき5つの理由
おそらく潰瘍性大腸炎患者が就職活動をする時に大きな悩みをなるのが「会社に潰瘍性大腸炎のことを伝えるべきかどうか」ということだと思います。
一概にどちらがいいか結論を出すことは難しいテーマですが、個人的な意見で言えば、潰瘍性大腸炎のことは会社にしっかり伝えておくべきだと思っています。
なぜなら、持病をカミングアウトすることによって周囲に理解を得られ、働きやすい環境を作ることができるからです。
考えられるメリットは次の5つです。
1.通院の休みがもらいやすくなる
まず、通院の休みをもらいやすくなります。
潰瘍性大腸炎は定期的な通院が必要です。そして、その頻度には個人差があります。筆者は2ヶ月に1度の通院をしていますが、体感的にはあっという間に来る感覚です。
通院の度に休みをもらわないといけないので、潰瘍性大腸炎のための通院だということを初めから理解してもらえれば、トラブルもなくなります。
逆にいつも「体調不良」など嘘をついて休むことになると、「体調管理ができない人」などと思われるかもしれません。
後ろめたい気持ちなく休みをもらうには、初めからカミングアウトしておいたほうがいいと思います。
2.トイレの回数が多くても理解してもらえる
トイレで離席が多くても病気が原因だということであればトラブルも少ないはずです。
活動期の方、または大腸を全摘している方はどうしてもトイレの回数が多くなっていまします。トイレの回数が異常に多いようだと、「集中力のない人」と思われるかもしれません。
3.業務内容を調整してもらえる
明らかに症状悪化につながりそうな業務内容にあたらないよう配慮してもらえる可能性も上がります。
例えばトイレに行けなくなるような業務、体力的消耗が激しい業務、または何らかの症状悪化の引き金になるような業務は避けてもらえるかもしれません。
逆に正当な理由もないまま「自分はこの業務がいい」「この業務はできない」などと主張すると「わがままな人間」と思われる可能性が出てきてしまいます。
自分は1年間だけ臨時採用で高校の先生をしていた時がありますが、事前に説明していたことで、運動部の顧問ではなく文化部の顧問にしてもらったという経験もあります。
4.お酒を強要されないで済む
社会人になると必ずついて回るのが「飲み会」です。
現在は「アルハラ」などという言葉があるくらいですから、ウーロン茶などアルコール以外を飲んでも怒られるようなことはめったにないですが、それでも「なんで飲まないの?」ぐらい言われるケースはあるかもしれません。
しかし、事前にアルコールを飲んではいけないことを理解してもらえればそのようなこともなくなります。
5.途中でバレて揉めることがなくなる
途中でバレてトラブルになることも避けられます。
可能性は低いですが、面接時に言わなかったことを責められる可能性もなくはありません。「なんで面接時に言わなかったんだ。ルール違反じゃないか」となったら精神的なストレスも大きく、最悪職場を変えることになるかもしれません。
カミングアウトのデメリットは不採用になること
上記の理由から就職活動では潰瘍性大腸炎のことをカミングアウトすべきだと思っていますが、デメリットも存在します。
それは採用を見送られるということです。
採用の基準は、応募する側にはわかりません。潰瘍性大腸炎を理由に採用を見送られるかもしれませんし、そんなものは採用には関係ないかもしれません。
ただし、他の潰瘍性大腸炎患者のブログを見ていると「伝える必要はない」という意見が比較的多いように思えます。それは、採用されないことはチャンスを潰すという気持ちからくるものでしょう。
しかし、黙って採用されてトラブルになったらどうするのか? 採用された後のことまで考えると、やはり面接時にきちんと伝えるべきなのではないかと思います。
潰瘍性大腸炎であることの伝え方のコツはある?
では、伝えるとしたらどのように伝えることが望ましいでしょうか?ここからは個人的な意見になりますが、このように伝えたらどうかということを自分の経験に基づいて書いていこうと思います。
ポイントを絞って伝える
就職活動では、全てを打ち明ける必要もないと思います。
例えば、
- 「持病を持っていて、2ヶ月に1回は通院で休むことになる」
- 「お腹の病気を持って行ってトイレの回数が多くなる時もある」
- 「食べ物に制限がある」
- 「お酒は飲めない」
など、要所だけを絞って伝えることもやり方のひとつです。
最終面接になるまでは言わない
自分は最終面接までは言わないようにしてきました。なぜなら、病気という印象を与えるよりも、まずは自分の魅力をアピールすることが大切だと思っていたからです。
もし十分に自分の魅力を伝えられ、企業からも必要な人材だと判断してもらうことができれば、病気というのはひとつの特徴にすぎません。
人は誰しも欠点を持っています。恐れずに言えば、潰瘍性大腸炎もその欠点のひとつなのではないでしょうか。
「通院のため定期的に休みをいただく」
「トイレの離席が多いかもしれない」
もしこれが業務上支障がなければあなたの魅力が薄れるようなことはないと思います。
業務に支障がないことをはっきりと伝える
カミングアウトする上で大事なのは「業務に支障がない」ということをはっきり伝えることです。
潰瘍性大腸炎は、活動期でよっぽどひどい状態でなければ業務に支障がでることは少ないのではないでしょうか?
もちろん嘘はいけませんが、業務上支障がない場合は忘れずにはっきりと伝えるようにしてください。この一言で面接官の印象もだいぶ変わります。
潰瘍性大腸炎だからといって才能や魅力がなくなるわけではない
個人的な意見になりますが、潰瘍性大腸炎だからといって自分の目標を諦める必要はないと思います。なぜなら、潰瘍性大腸炎だからと言って、自分の才能や魅力がなくなるわけではないからです。
目標がある限りチャレンジしたほうがいい
潰瘍性大腸炎を克服している方は多くいらっしゃいます。そして、寛解期はほとんど症状なく過ごせている方も多いです。
活動期の方は今の基準で考えると「無理かもしれない」と思うかもしれませんが、寛解になれば働ける可能性もあります。
何より最優先されるべきは自分の目標です。潰瘍性大腸炎を理由に夢を諦めるのはあまりにもったいないことです。
体調との兼ね合いがありますので難しい判断になる方もいらっしゃると思いますが、個人的には自分の夢に向かって進んでみてほしいと思っています。
潰瘍性大腸炎に負担となる仕事とは?
ただし、体調を最優先することが人生の質を上げることだと考える方もいらっしゃると思います。
そうした方は以下のような仕事は避けたほうがいいかもしれません。
- 勤務時間が極端に長い仕事
- ストレスが多い仕事
- 食生活が不規則になる仕事
- トイレに行く機会が極端に少ない仕事
ストレスが再燃のきっかけとなることは多く、トイレを我慢することは最悪腸閉塞を起こしかねません。健康面を重視するようでしたらこれらに仕事は避けたほうがいいでしょう。
海外に転勤のある仕事は医者とのコミュニケーションに注意
海外に転勤のあるような仕事を選ぶと、赴任先で通院をしなければなりません。赴任先の言語を話せるようなら問題ありませんが、コミュニケーションがとれないと自分の症状をうまく伝えられない可能性があります。
その場合は、診察時に医者に渡せるメモなどを用意して、コミュニケーションをとる工夫が必要になるでしょう。
管理人の職歴紹介
最後に筆者がこれまでやってきた仕事を書いていこうと思います。これから就職をする人、転職を検討している人の参考になると嬉しいです。
1.高校の先生(臨時採用)
就職する前に、臨時採用で高校の先生を1年間だけやったことがあります。
この仕事は休みが非常に取りにくかったです。なぜなら、毎日授業が入っていたり、土日も部活動の指導に出なければいけなかったからです。
病院に行く時間を作るのが難しい仕事だとは思うのですが、上司等に相談して通院する時間はつくるように工夫する必要がある仕事だと思います。
あと、縦社会が強い雰囲気だと思いますので、飲み会の席も要注意です。アルコールを強要されそうになるかもしれませんが、飲めない人はきちんと断る意思をもちましょう。
2.出版社の編集者
編集という仕事はいわゆる激務系のひとつだと思います。ところが筆者の勤めた会社は結構ゆるゆるでした。締め切り前でもない限り定時で普通に帰れましたし、休みももらいやすかったです。
編集者を目指している方の参考にならなくてすみません……(笑)
ただ、先ほどの学校の先生と比べ、民間はある程度休みが取りやすいところは大きなポイントかと思います。
3.Webマーケティング会社でコピーライター
前職の経験を活かして、今はコピーライターとして働いています。終電で帰ることも週に1度は必ずありますが、楽しいからやってけてます。労働時間の長さはあまりストレスになっていません。
このストレスに感じてないってところがポイントで、ここがストレスになるようだとかなりダメージがでてくると思います。やっぱり終電帰りは体力的にもきついですしね。
この辺はしっかり考えて就職したほうがいいかもしれません。
まとめ
以上、潰瘍性大腸炎と就職の話しでした。
今回の記事を簡単にまとめます。
- 潰瘍性大腸炎であると打ち明けたほうが将来的なことまで考えるとメリットは大きい
- 夜遅くなる仕事や生活リズムが不規則な仕事にはちゃんと考えてチャレンジする
- 転勤の多い仕事や海外転勤のある仕事は主治医が変わって行くリスクがあるから要検討
就職は人生の中でも大きなイベントのひとつです。
自分の夢があるんだったら潰瘍性大腸炎で自分の可能性を潰すよりも、まずは病気と付き合ってどうその仕事を続けていけるか道を探すのが第一だと思います。
ただし、無理は禁物。自分の体を大事にしながら、よりよい社会人生活を送っていただきたいと思います。
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