潰瘍性大腸炎になって最も気になることのひとつが「食事」ではないでしょうか。現在の研究では、食事が症状に大きな影響を与えているとは断言されていません。しかし、患者向けのガイドラインには「控えるべきもの」が載っている以上、食事は症状に影響があるものと考え、日々気を配ることが重要であると考えられます。
しかしながら、正しい知識を持っていなければ「過剰な食事制限」に陥りやすいのが潰瘍性大腸炎患者の食事事情です。本来そこまで制限しなくてもいいものを制限する生活は、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を下げる事にもつながります。本当に控えなければいけないものはなんなのか、そして症状改善に繋がると考えられている食べ物はあるのか。
今回は潰瘍性大腸炎と食事の関係について詳しくお伝えします。
もくじ
潰瘍性大腸炎の食事の基本となる4つのこと
潰瘍性大腸炎では、以下の4つを満たす食事内容が理想とされています。
- 低脂質
- 低残渣
- 低刺激
- 高カロリー
1.低脂質
脂質は腸管を刺激し、下痢や腹痛の要因となると考えられています。潰瘍性大腸炎では「低脂質」に気をつけることが基本です。これまで口にしていた脂質の多いものを、脂質の少ないものに切り替えることから始めましょう。例えば、肉は鶏のササミ肉、ムネ肉、または牛や豚の赤みの多い肉(ヒレ肉など)などは比較的脂質が少ない部位です。おやつは洋菓子よりも和菓子のほうが脂質が少なく、比較的症状の悪化リスクは軽減されます。
脂質の量は1日40g以下とする
脂質の量は1日に40g以下とするのがひとつの目安です。ネット上では20g〜30gが推奨されている場合もありますが、ご自身の症状に影響がないようなら少なくする必要はありません。一番安全なのは、最初は少ない脂質量からはじめ徐々に摂取量を上げていく方法です。その日の体調に合わせてコントロールすることも重要だと言えるでしょう。
2.低残渣
低残渣食とは不溶性食物繊維の少ない食事を指します。不溶性食物繊維は消化されにくいことから、腸に届くと刺激となることがあります。狭窄(きょうさく)や腸閉塞がある方が野菜を摂取する場合は、良く煮て柔らかくしたり、刻んで細かくしたりなど、なるべく負担がかからないように工夫するほうがいいでしょう。
同じ食物繊維でも水溶性食物繊維(ペクチン)というものもありますが、こちらは腸内を傷つけるリスクも少ないため摂取しても問題ありません(むしろ摂取が推奨されているもののひとつです)。
症状悪化が見られなければ過剰に制限する必要はない
最近では食物繊維が腸内発酵する際に生まれる短鎖脂肪酸が炎症抑制に効果があることがわかってきました。摂取により症状が悪化が見られない場合は、制限の必要はないという考えも出てきています。
3.低刺激
潰瘍性大腸炎の腸内は炎症を起こしているため、刺激の強い食べ物からダメージを受けやすくなっています。唐辛子などの辛いものや、アルコールなどといった刺激の強いものは、できるだけ避けるようにしてください。極端に冷たいものなども腸への刺激となるので控えたほうがいいでしょう。
4.高カロリー
潰瘍性大腸炎で強い食事制限をしていると、カロリーが不足がちになります。炎症の抑制や傷ついた腸管を修復するためには多くのエネルギーを必要とするため、できるだけ栄養はしっかりと摂ることが大切です。食事だけでの摂取が難しい場合は、成分栄養剤の併用を推奨される場合もあります。
潰瘍性大腸炎患者が進んで摂りたい6つのもの
潰瘍性大腸炎では腸内環境の改善に役立つもの、または腸管の修復をサポートする栄養素については進んで摂ることが推奨されています。
これらの役割を果たすものが以下の6つになります。
- 水溶性食物繊維
- 乳酸菌
- オリゴ糖
- タンパク質
- 葉酸
- ビタミン・ミネラル
水溶性食物繊維(ペクチン)
食物繊維には水溶性食物繊維(ペクチン)と不溶性食物繊維の2種類があります。不溶性食物繊維は、腸閉塞や狭窄がある場合には控えることが推奨されていますが、水溶性食物繊維は腸管を傷つけるリスクも少ないことから多くの人は安全に摂取することが可能です。
さらに、水溶性食物繊維は、腸内環境を整える力を持っているため、便の状態も良くなりやすく、また、脂肪の吸収も穏やかにしてくれるので、ペクチンは積極的に摂取していきたいものひとつになります。
乳酸菌
乳酸菌は腸内環境を整える力が強いため、特に潰瘍性大腸炎では摂取が推奨されています。すでにラッグビー等を処方されている方もいらっしゃると思いますが、さらに食事からの摂取を意識してみたり、乳酸菌サプリを活用するとさら高い効果を期待できます。
オリゴ糖
オリゴ糖は乳酸菌のエサとなる物質です。オリゴ糖の摂取によって腸内の乳酸菌の働きが高まるため、結果として腸内環境の改善が期待できます。
タンパク質
タンパク質は、傷ついた腸管の修復に役立ちます。潰瘍性大腸炎患者の多くは肉がダメという人が多いので、なかなかたんぱく質の摂取量が少なくなりがちですが、できるだけタンパク質の摂取は意識するようにしましょう。
タンパク質の必要摂取量の目安は、60kgの人なら60g、45kgの人なら45gが目安となります。
葉酸
葉酸は細胞の生成に欠かせない栄養素です。私たちの細胞は約4ヶ月で生まれ変わっているのですが、腸をはじめとした粘膜部分は特に生まれ変わりが活発な箇所と言われています。そのため、傷ついた腸の細胞をスムーズに生まれ変わらせるためにも、葉酸の摂取はとても重要です。
しかしながら、葉酸は下痢によって失われやすく、潰瘍性大腸炎になると葉酸が不足がちになってしまいます。さらに、治療薬で使われる「サラゾスルファピリジン」は葉酸の吸収を妨げることが確認されています。
炎症部分の細胞を健康な細胞に生まれ変わらせるためにも、できるだけ多くの葉酸を摂取するよう心がけましょう。
ビタミン・ミネラル
ビタミンやミネラルは、私たちの健康維持に欠かせない栄養素です。ところが、厳しい食事制限がある場合では、野菜不足に陥りやすい傾向があります。
食物繊維の制限も大事なことですが、ビタミンやミネラルが長期的に不足してくることも、健康を維持する上ではリスクです。
狭窄や腸閉塞でなく、さらに食物繊維によって症状悪化が見られない場合では、できるだけ野菜を食べて、ビタミンやミネラルを摂取するようにしましょう。
もし不安な方は、ビタミンを含むサプリメントを活用するのもひとつの選択肢です。
乳酸菌は腸内環境を整える強い味方となる
潰瘍性大腸炎では、腸内環境を良い状態に保つことが推奨されていますが、その一助となるのが乳酸菌です。
潰瘍性大腸炎と乳酸菌の関係については、森永乳業が興味深い臨床データを出しているので、まずは以下のグラフをご覧ください
出典:http://bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk05.html
初めにこの実験の概要を簡単に説明すると以下の通りになります。
軽症から中等症の潰瘍性大腸炎患者14名に、治療薬とともにビフィズス菌BB536を1日2000億~3000億、24週間摂取してもらったところ、14名中12名で症状のスコアが低下し、10名は緩解(かんかい)にいたりました。
出典:http://bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk05.html
このようにビフィズス菌BB536の摂取によって複数名の患者が寛解という結果となり、直腸炎型、左側大腸炎型、全体腸炎型のすべての患者について同じように効果があったことが見てとれます。
この実験の留意点は以下の通りです。
- 1日に2000〜3000億個という膨大な乳酸菌が使われたこと
- 1ヶ月〜6ヶ月といった長期間乳酸菌を摂取しつづけたこと
乳酸菌の力で寛解が期待できるのはなぜ?
では、乳酸菌の摂取によって、なぜ寛解が期待できるのでしょうか?
その理由は大きく分けて2つあります。
1.免疫が正しく機能するから
実は、私たちの免疫機能の約70%は腸に集中しています。そのため、免疫機能と腸内環境は密接に結びついていると考えられています。
腸内環境が整っていれば、免疫力は正常に機能することができますが、腸内環境が悪化していると、過剰になったり、もしくは低下することが確認できています。
ちなみに、潰瘍性大腸炎では一部の免疫力が過剰な状態になっていると考えられていますが、腸内環境を整えることで免疫力が正常化し、腸内の炎症が抑えられたという実験結果もあります。
以上の理由から、潰瘍性大腸炎では腸内環境が整うことで症状が緩和するケースもあるのです。
2.善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸が炎症抑制に効果があるから
善玉菌はエサとなる食物繊維やオリゴ糖を分解する際に、短鎖脂肪酸という物質を生み出します。その中の一つである酪酸という物質が、炎症の抑制に効果があることがわかっています。
乳酸菌を摂取すると腸内の善玉菌の働きが活発になり、たくさんの短鎖脂肪酸が生み出されます。そのため、潰瘍性大腸炎では、善玉菌を多く含む発酵食品や、またエサとなる食物繊維やオリゴ糖を意識して摂取することが推奨されているのです。
薬だけに頼らず体質や生活習慣を見つめ直すことも重要
薬は基本的には対処療法です。薬で症状の改善につとめることはもちろん重要ですが、体質や生活習慣といった根本的なところを見つめ直すことも同様に重要なことです。
潰瘍性大腸炎では、症状の安定と共に減薬となる場合も多いです。しかし、減薬と同時に症状が元通りになってしまっては意味がありません。そうした場合でも症状がすぐに元通りになってしまわないためにも、腸内環境を意識して整え、根本的な解決をはかっていくことも、寛解を維持する上では重要なことであると考えます。
乳酸菌の摂取はサプリをオススメする2つの理由
もし、乳酸菌・ビフィズス菌などの摂取を考えているなら、サプリを使ってみることをオススメします。
なぜサプリがいいかというと、大きな理由としては2つあげられます。
1.膨大な数の乳酸菌が摂取できるから
1点目は、膨大な数の乳酸菌が摂取できることが挙げられます。
先ほどの森永の実験を参考にすると、1日2000億〜3000億個の乳酸菌が使われています。このように、潰瘍性大腸炎の症状改善ということを目的とするのであれば、膨大な乳酸菌が必要になることは絶対に覚えておかなければならないポイントです。
ちなみにヨーグルトは100g中に約100億個、ヤクルトは1本に約150億個の乳酸菌が含まれていますが、これではヨーグルトなら2kg以上、ヤクルトなら14本以上の摂取が必要となります。つまり、これらからの摂取は現実的ではないということです。
一方、サプリなら膨大な乳酸菌数がは配合されているものもありますので、必要数の乳酸菌を摂取することができます。
2.数種類の乳酸菌が摂取できるから
乳酸菌は数種類を摂取すると相乗効果が働き、よりパワフルな効果を期待できるようになります。
そもそも、乳酸菌は種類によって発揮する効果も違います。そのため、数種類の乳酸菌の摂取することで異なる効果を得られるため、乳酸菌から得られる効果も高まるのです。
また、どの乳酸菌が合うかは、ひとりひとり異なると言われています。
そのため、数種類の乳酸菌を摂取できるほうが、自分との相性が良い乳酸菌と出会える確率も高まります。
その点、サプリメントはヨーグルトには見られないような数多くの種類が配合されたものも出ており、数種類の乳酸菌が摂取できるため、メリットも大きいです。
潰瘍性大腸炎に効果が期待できるサプリを選ぶことが重要
乳酸菌のサプリメンントはどれでもいいというわけではありません。
先ほどにしめした森永乳業の実験では1日に2000〜3000億個もの乳酸菌を摂取しています。つまり、多くの乳酸菌が配合されているサプリを選ぶことが大前提となります。
しかし、市場に出ているサプリは必ずしも潰瘍性大腸炎のためだけに作られたわけではないので、乳酸菌の含有数が全然足りていないも数多く出回っています。
ですので、乳酸菌サプリを選ぶときは乳酸菌の数が多いものを選ぶようにしてください。
症状悪化が見られなければなぜ食物繊維を摂取したほうがいいのか?
食物繊維が腸管を傷つける恐れがあることは事実ですが、一方で「症状悪化が見られなければ食物繊維を摂取したほうがいい」との見方もあります。
では、どうして食物繊維の摂取が推奨されているのでしょうか?その理由は以下の通りになります。
腸内をキレイにしてくれるから
食物繊維は消化されにくいため、腸内の腐敗物を絡め取って排出する力を持っています。結果としてキレイな腸内環境を保つことができます。
腸内の善玉菌を活性化させるから
食物繊維は善玉菌のエサとなる物質です。食物繊維を摂取することで、腸内の善玉菌を活性化させることができます。
酪酸が炎症を抑える効果があるから
善玉菌は食物繊維を発酵させる際に、短鎖脂肪酸という物質を生み出します。この短鎖脂肪酸は潰瘍性大腸炎の炎症を抑える力が期待できることが近年の研究によって明らかにされました。
潰瘍性大腸炎でオススメの食べ物はなに?
ここからは、潰瘍性大腸炎にオススメの食べ物を紹介します。
比較的安全に食べることができるもの、または腸内環境の改善や、腸管の修復に役立つものを中心に選びました。
お米
エネルギー源となる炭水化物は食事の中で欠かせないものとなりますが、潰瘍性大腸炎の場合では、お米を主食とするのがオススメです。
米は消化されやすく、またアレルギー反応も起こしにくいです。また、粉物よりも粒が残っている米のほうが、便を健康な時の状態に近づけてくれます。
症状が優れない時はおかゆなどにしてみるのもいいでしょう。
お正月の定番のもちもお米でできているので摂取しても問題ありません。
- おにぎり
- おかゆ
- もち
うどん
うどんは脂質も少なく、潰瘍性大腸炎患者でも安全に摂取することができます。
ただし、トッピンングとなるかき揚げなどの揚げ物はなるべく控えたほうがいい場合もありますので注意しましょう。
トッピングには温泉卵やすりおろし生姜などがオススメです。
- 素うどん
- 脂質の少ないトッピングもOK
脂質の少ないパン
脂質の少ないパン(食パン・柔らかいフランスパン)なども比較的安全とされています。
ただし、脂質が多く使われているものは避けるようにしましょう。クロワッサンは脂質量が多いです。また、サンドイッチなどもマヨネーズがたっぷり使われている場合もありますので、注意が必要です。
- 食パン
- 柔らかいフランスパン
- バターロール
など
青魚・白身魚
魚には、腸管の修復に必要なタンパク質が豊富に含まれています。
そして、青魚には炎症抑制にいいとされるEPAやDHAといったオメガ3系の脂も多く含まれているため、潰瘍性大腸炎では貴重な脂質の摂取源となります。
一方で白身魚は低脂質ながらも高タンパクなため、症状がある状態でも比較的安全に摂取することができます。特に活動期のタンパク源としてオススメです。
ただし、骨が腸管を傷つける場合もありますので、骨は取り除くか、よく噛んで食べるようにしましょう。
- さんま
- いわし
- さば
- あじ
- にしん
など
白身魚
- たら
- たい
- すずき
- ひらめ
- かれい
など
しらすでカルシウムの摂取も!
イワシの小魚であるしらすは脂肪分が少ないので潰瘍性大腸炎でも安心して摂取できます。さらに、貴重なカルシウム源ともなるので、オススメの食材です。
発酵食品
発酵食品は善玉菌を含んでいますので、私たちの腸内環境を整えてくれます。
発酵食品の摂取によって、腸内の善玉菌の働きが活発になり、結果として腸内環境の改善が期待できます。
ヨーグルトは乳製品ですが、下痢の原因となる乳糖が分解されているため、乳製品の中では比較的安全に摂取できる食品です。ただし、動物性脂肪によって症状が悪化する場合もありますので、初めは少ない量で様子を見ながら摂取することをオススメします。また、乳脂肪の摂りすぎる恐れもあるため、食べ過ぎは禁物です。
- 味噌
- 納豆
- 醤油
- 漬物
- ヨーグルト
酸っぱいもの
酸っぱいものは悪玉菌の増殖を抑えてくれますので、腸内環境にいい食材となります。
悪玉菌は酸に弱く、酸性の腸内では増殖が弱まることがわかっています。逆に腸内がアルカリ性になると働きが活発になりますので、腸内を酸性に保つためにも酸っぱいものの摂取は効果を期待できます。
逆に善玉菌は酸性の環境を好む傾向にありますので、酸っぱいものを摂取すれば、腸内の善玉菌が活発になることが期待できます。
- 梅干し
- 酢
葉酸・ビタミン・ミネラルが豊富な野菜
潰瘍性大腸炎では、野菜がどうしても不足がちになりますが、食物繊維による症状悪化が見られない状態の時は、できるだけ野菜を積極的に摂取することがオススメです。
野菜には、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、また緑色が濃い野菜には葉酸が豊富な野菜も多いです。
これらの栄養素は健康維持には欠かせない栄養素ですし、葉酸は炎症で傷ついた腸管の修復をサポートします。野菜を摂取するメリットはとても大きいですので、できるだけ毎日摂取することが大切です。
食物繊維は柔らかく細かくする
もし食物繊維が心配だという方は、調理方法を工夫して、なるべく腸に負担のかからない形で摂取することをオススメします。
例えば、煮ることによって食物繊維は柔らかくなりますし、細かく刻むことによって腸管への負担もグッと減らすことができます。
このような工夫をしながら、野菜はできるだけ摂取することが大切です。
水溶性食物繊維(ペクチン)が豊富なもの
最後は、オリゴ糖やペクチンが豊富なものです。比較的果物に多いので、果物も進んで摂取したいもののひとつです。
例えばバナナはオリゴ糖や水溶性食物繊維を豊富に含んでいるため、潰瘍性大腸炎にぴったりな食べ物のひとつです。
- りんご
- 桃
- いちご
- 洋梨
- さくらんぼ
- 柿
- アボカド
- 納豆
- おくら
など
潰瘍性大腸炎ではどんな油を使えばいいの?
潰瘍性大腸炎では、油はあまり良くないとされていますが、油にもいくつか種類があり、比較的安全に摂取できる種類の油もあります。
それが以下の2つの種類の油です。
ω-3系の脂肪酸を含む油
ω-3系の脂肪酸は、炎症を抑制する効果を持っていたり、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす力を持っています。また、潰瘍性大腸炎でも症状悪化のリスクは比較的少ないと言われています。
ω-3系の脂肪酸を多く含むのは以下の油です。
- 亜麻仁油
- エゴマ油
- 青魚の油
ω-9系の脂肪酸を含む油
もうひとつ潰瘍性大腸炎にオススメの油はω-9系の脂肪酸を含む油です。
ω-9系の脂肪酸が豊富な油は以下の通りです。
- オリーブ油
- キャノーラ油
- ひまわり油
- 米油
ω-9系の脂肪酸は、熱に強いため調理に向いているのがメリットです。そのため、潰瘍性大腸炎向けのレシピではオリーブオイルなどが使われることが多いです。今までサラダ油中心だった方は、オリーブオイルやキャノーラ油などに変えてみることをオススメします。
飽和脂肪酸・ω-6系の脂肪酸を含む油はなるべく摂取しない
潰瘍性大腸炎では、飽和脂肪酸とω-6系の脂肪酸を含む油はあまりよくないと言われています。これらの油は炎症を悪化させる場合がありますので、摂りすぎには十分に注意してください。
- サラダ油
- ゴマ油
- マヨネーズ
- 大豆油
- 菜種油
- 紅花油
- グレープシード油
- コーン油
飽和脂肪酸が多い油
- 肉の脂身
- バター
- ラード
- ショートニング
- ココナッツオイル(やし油)
- パーム油
- パーム核油
潰瘍性大腸炎患者が控えたい食べ物は?
ここからは、潰瘍性大腸炎患者が控えたい食べ物についてご説明いたします。
以下の8つのものについては、症状が悪化する可能性がありますので、摂取はなるべく控えることが推奨されています。
脂っぽいもの
脂質の取りすぎは、腸管を刺激し、下痢や腹痛につながる場合があるので注意が必要です。
また、脂質を分解するために分泌される胆汁酸が再吸収されないと、腸管を刺激してしまい、これも下痢の原因となります。
以下の食べ物にはご注意ください。
- フライや天ぷらなどの揚げ物
- 脂質の多い肉(バラ肉・ロース肉・ひき肉など)
- チーズ
- 生クリーム
- ケーキなどの洋菓子
- 菓子パン
- チョコレート
- カレーライス
ジャンクフード
ジャンクフードは油がたっぷりと使用されており、しかも炎症を促進させる油が使われている場合がほとんどです。また、ビタミン等が極端に少ないのも特徴で、栄養バランス的にも良くありませんので、摂取は控えた方がいいでしょう。
- スナック菓子
- カップ麺
- コンビニのホットスナック
- ハンバーガー
- フライドポテト
- ピザ
など
辛いもの
辛いものなどの刺激が強いものは腸管を刺激し、下痢を誘発します。
また、辛いものを食べると交感神経が高まる影響で、消化能力が低下してしまいます。潰瘍性大腸炎では腸が炎症しており、消化能力も弱まっていますから、できるだけ辛いものの摂取は控えるようにしましょう。
- 唐辛子
- 麻婆豆腐
- カレー
アルコール
アルコールは下血の原因となりやすいです。
潰瘍性大腸炎患者のブログを見ると、アルコールが原因となって下血したという記事は良く見ますし、アルコールを引き金に再燃したという話もよく聞きます。
成人になると、付き合いでお酒の場も出てきますが、潰瘍性大腸炎の症状が出ている時期にアルコールを摂取することはできる限り避けてください。
白砂糖
生成された白砂糖は腸内環境を悪化させやすいです。
私たちの腸内には様々な腸内細菌が住んでいますが、悪玉菌は砂糖を好物としています。中でもカンジタ菌と言われるカビ菌は特に砂糖が好物です。
悪玉菌が増えると腸内環境は悪化しやすく、結果として免疫異常、下痢、腹痛などの症状もあらわれやすくなります。
砂糖を一切断つ必要はないですが、白砂糖の摂りすぎには十分に注意してください。
- ケーキなどの洋菓子
- コーラなどの炭酸飲料
- 果汁が少ないジュース
乳製品
乳製品は、「乳糖」や「乳脂肪」が症状悪化の引き金となる場合があるので要注意です。
乳糖を消化するにはラクターゼという酵素が必要なのですが、日本人はラクターゼを十分に持っていない人が多いと言われています(乳糖不耐症)。このラクターゼが少ないと、乳糖が腸内で異常発酵してしまいます。この際に大量のガスや有機酸を産み、結果的に腸を刺激する原因となってしまいます。
牛乳を飲んでお腹がゆるくなりがちな人は乳糖が消化できていない可能性も考えられますので、過剰な摂取は控えたほうがいいでしょう。
また、乳製品は脂肪分が多めであることにも注意が必要です。商品選びの際は、低脂肪牛乳や低脂肪ヨーグルトなど低脂質のものを選んだほうがお腹には優しいでしょう。
- 牛乳
- 生クリーム
など
ヨーグルトは乳糖が分解されている
ヨーグルトは乳糖が分解されているので乳糖不耐症の方でもお腹はゆるくなりにくいです。また、個体なので乳脂肪もゆっくり腸まで届くため、腸管への刺激も牛乳よりも少ないと言われています。体調の変化がみられなければ無理に制限する必要はないでしょう。
脂身の多い肉
動物性タンパク質や動物性の脂質は悪玉菌のエサとなるため、腸内の悪玉菌の働きを強めてしまいます。結果として腸内環境の悪化を助長し、症状悪化につながる可能性があります。
また、これらは悪玉菌の働きによって腸内で腐敗する過程でガスを発生させます。ガスが異常発生してしまうと、腸管を刺激してしまう恐れがありますので、注意が必要です。
- バラ肉
- ひき肉
など
不溶性食物繊維
潰瘍性大腸炎では食物繊維を控える低残渣食が推奨されています。
しかし、食物繊維は腸内をキレイにしてくれる上、善玉菌によって発酵される際に生み出す酪酸などの物質が炎症抑制に効果があることから、症状悪化が見られない場合では食物繊維の制限はしなくていいという意見も多いです。
ただし、発症して間もない場合や、活動期にある場合には、少しずつ様子を見ながら摂取していくのがいいでしょう。
- ゴボウ
- レンコン
- とうもろこし
- 海藻類
- ひじき
- こんにゃく
- ニラ
- 豆の皮
- パイナップル
- みかん
食品との相性は個人差が大きい
潰瘍性大腸炎では、食品との相性はひとりひとりかなり異なります。
そのため、自分が過去に体調を崩した経験のある食べ物については覚えておくべきでしょう。
逆に、体調を崩さなければ、過度な食事制限は必要ないと言われることもあります。特に、食物繊維など、マイナスだけでなくプラスの働きをするものについては、症状悪化がみられなければできる限り摂取したいものです。
食品との相性は、ある程度の経験を積みながら学習する部分も大きいです。失敗することもあるかもしれませんが、それを財産として前向きに捉えていきましょう。
食べ方で気をつけるべき3つのポイント
潰瘍性大腸炎患者は、食べ物や栄養素だけでなく「食べ方」も気をつけると大腸への負担をグッと減らすことができます。
よく噛んで食べる
最も基本となるのは、よく噛んで食べることです。
食べ物は口から胃、胃から腸という道のりを通って消化されていくわけですが、よく噛んで口の中で食べ物を分解することによって胃腸にかかる負担をグッと減らすことができます。
唾液には炭水化物を消化するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼという消化酵素が含まれており、よく噛むことで唾液の分泌が活発になるのでこれらの消化酵素の働きも高まります。
また、噛むことで食べ物が細かくなりますので栄養が効率よく吸収され、結果的に胃や腸での消化もスムーズになります。
逆によく噛まずに食べると胃で消化不良を起こし、腸への負担となる場合もありますので、食事の際は必ずよく噛むことを心がけてください。
よく噛むと食べる量も少なくてすむ
よく噛むことは脳を活性化させ、神経ヒスタミンの量が増えます。この神経ヒスタミンが増えると満腹中枢を刺激するので、少ない量でも満腹感を得ることができます。
暴食がなくなれば、腸への負担も少なくなりますので、よく噛んで食欲をコントロールするように心がけましょう。
1口30回噛むことが目安
目安となるのは1口30回です。
噛む習慣がないとはじめは結構大変かと思いますが、よく噛むことにも次第になれてきます。根気強く1口30回噛むことを習慣づけていきましょう。
夜遅くに食事しない
夜遅くの食事は腸内環境を悪化させる原因となります。
私たちの腸は、睡眠中には活動力を低下させ休みをとっています。腸にも休む時間は必要なのです。しかし、夜遅くに食事をすることは無理やり消化活動をさせることになりますので、腸が休む時間がなくなってしまいます。しかも睡眠中はもともと腸の働きが低下している状態なので、消化分解も十分に行われません。
また、睡眠中にはモチリンという排泄に関わるホルモンが分泌されるのですが、これは空腹になっていないと分泌されないホルモンです。夜遅くの食事は空腹状態を作らせないことになりますので、モチリンの分泌が不十分になってしまいます。そのため排泄が不十分になって老廃物が腸内にたまってしまい、結果として腸内環境が悪化することになってしまいます。
就寝の4時間前までには食べるようにする
腸に休める時間を与えるためにも、就寝の4時間前までは夜ご飯を済ませるようにしてください。
しかし、仕事が夜遅くまでかかってしまう人など、どうしても夕飯の時間が不規則になってしまう人もいるかと思います。
その場合は夜休憩を少しもらって食事をしてしまう、よる遅くになる時は消化のいいものを食べるようにするなど、個々人で工夫が必要です。夜食にはバナナ、うどんなどがおすすめです。
暴飲暴食をしない
当たり前かと思いますが、暴飲暴食は腸にかなりの負担がかかりますので、絶対にやめてください。
潰瘍性大腸炎向けのレシピを作ってみた!
最後に、潰瘍性大腸炎患者でも安心して食べられるレシピを紹介します。
肉は一切不使用!|豆腐とさばのヘルシー餃子
- 生姜で魚の臭みも気にならない!
- お豆腐が入っているからボリューム感もあり!
- ポン酢で食べるとさっぱり美味しい!
お肉が食べられない人でもおいしい餃子が食べられるように作りました。
また、このぎょうざには生姜を使っていますが、生姜には抗炎症作用があるので潰瘍性大腸炎の人にはぴったりの餃子です。
*豆腐 200g
*ニラ(みじん切り) 適量
*生姜(すりおろし) 適量
*サバ水煮缶(油を軽くきる) 1缶
*オリーブオイル 大さじ1
*醤油 大さじ2
オリーブオイルを使うのは、潰瘍性大腸炎に負担の少ないオイルだからです。これに限らず、調理の際はオリーブオイルを使うのがオススメです。
①*の材料を全部ボウルに入れ混ぜたら具の完成(豆腐もサバも手や木べら等でほぐしてください)。
②具を餃子の皮で包みます。
③温めたフライパンにオリーブオイルを入れ餃子を並べて中火で焼く。
油を敷く際はオイルスプレーを使うと少ない油で調理することができます。
玉子焼きのフライパンで焼くとキレイに並べられてちょうど良いです。
④軽く焼き目がついたら水を少し(餃子が1/3ひたるくらい)入れフタをして強火で蒸し焼きにする。
⑤水分が飛ぶまで焼いたら盛り付けて完成!
この材料でだいたい25個分(餃子の皮一袋ぶん)できます。
まとめ
潰瘍性大腸炎ではNGフードは個人差がでてきます。上記で説明したのは一般論的な紹介の仕方ですので、もしトライしてみてダメだった場合は、無理せず今後摂取することは控えてください。
ちなみにfummyは脂の量関係なく肉が全くダメだったので、個人差は必ずあります。
また、食事は薬ではできない体質改善を担う重要な要素です。薬は症状を抑えてはくれますが、体質は改善してくれません。
潰瘍性大腸炎では腸内環境が悪化していることがほとんどですので、食事やサプリメントを使って根本的に体質や腸内環境改善していくことが重要です。
みなさんも食事にはきちんと気をつけて、寛解獲得、その後も維持できるように努めていきましょう。
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潰瘍性大腸炎17年のものです。ブログを拝見しました。
矛盾点があるので指摘させていただきます。
あなたのブログでは「不溶性食物繊維は潰瘍性大腸炎の症状を悪化させる」と書いているにもかかわらず、「玄米・雑穀米」を主食にするように書かれています。
ちなみに、玄米の食物繊維はほとんどが「不溶性食物繊維」です。
「不溶性食物繊維は腸管を傷つける恐れがある」と書いているにもかかわらず、それでも「玄米・雑穀米」を潰瘍性大腸炎の方に勧められるのでしょうか?
また、「便の量を増やしたり、柔らかくする効果があり」とありますが、不溶性食物繊維を取ると便は「硬く」なります。
実際の私の体験ですが、潰瘍性大腸炎の方が玄米を食べると「ぬか」が消化されずに、そのまま出てきます。
そして、玄米を食べると腹痛も酷くなり、下血も酷くなった経験があります。
それでも、あなたは玄米が良いと言っているのですか?
ブログを書くのは自由ですが、潰瘍性大腸炎に苦しんでいる方に誤った情報を流すことはやめて頂きたいと思い、コメントさせていただきました。
コメントありがとうございます。
また、いろいろとご指摘くださりありがとうございました。
藤崎さんのコメントを読んで、玄米に関しては掲載の仕方を改善する必要があるかなと感じました。修正はすで済ませておきましたので、もしもう一度読んでいただけるなら本文をお読みいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
お返事ありがとうございます。
誤りがあるのは、不溶性食物繊維だけではなく、他にも多く見受けられます。
言われてから、訂正するような中途半端な知識の中でこのように潰瘍性大腸炎の方に対して、確証のない情報を伝えるのはいかがかと思います。
最近では、WELQと言うサイトが適当な健康記事を書いていた事件が公になったばかりです。
これは、まさにその二の舞かと思います。
私はただただ、同じ潰瘍性大腸炎の方に間違った情報を提供してほしくないだけです。
いきなり出しゃばってしまい、申し訳ございませんでした。
潰瘍性大腸炎7年目です。
潰瘍性大腸炎の食事がとてもわかりやすくまとめられていてすごいなと思いました。
上のコメントにもあるように、「食物繊維はいけない」みたいな風潮はあると思いますが、実際食物繊維はそれほど悪くないと私個人としては思っています。
私が持っている『潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事』という本にも、短鎖脂肪酸が炎症を抑えるから、食物繊維の摂取が正しいかどうかはわからなくなっていると書かれています。
確かに症状がひどい時には食物繊維の摂取は良くないかもしれませんが、それ以外の時はあまり気にせず無理しない程度に食べていました。やっぱり野菜を摂らないと、潰瘍性大腸炎以外の不調が出てくる気がして、食物繊維もそうですが、栄養もしっかり摂るようにしていました。
潰瘍性大腸炎の食事は結局は個人差が大きいですからね。一概にダメとも言えないし、絶対に安全とも言えない。微妙なラインですが、いろいろなことを大きく捉えて考えると、やっぱり摂ったほうがいいのかなと思っています。
いきなり意見してすみませんでした…m(_ _)mこれからもブログ頑張ってください!
>かーこさん
コメントありがとうございます!
確かに個人差は大きいですよね。僕は肉と相性が悪かったみたいで、脂質の量に関係なく口にしないようにしていました。食物繊維に関しては症状を崩すことなく摂取できたので、自分も積極的に摂るようにしていました。ただ、体調を崩される方もいるようなので、安易な書き方をしてしまったことは反省です…… 。
あと、その本僕も持っています笑。発症当時はバイブルのように読んでいました。
ご意見いただけて嬉しいです!今後ともよろしくお願いします!