現代人と切っても切り離せないストレス。
ストレスは様々な疾病を引き起こす原因とも考えられています。
しかしながら、なぜストレスは人間の体に悪影響を及ぼすのでしょうか?
実は、ストレスが人間の体に負担をかけるメカニズムは、数々の少年漫画で採用されているシーンに例えると、簡単に理解することができます。
ストレスが人間の体に悪い理由は意外とシンプルです。だからこそ「ストレスがなぜ体に悪いのか」をきちんと理解し、対処法まで知っておけば、ストレスで体調を崩すリスクも減らせるはずです。
今回の記事はストレスがテーマです。ストレスに負けない体を作っていくためにも、ここでしっかりと勉強しておきましょう。
もくじ
ストレスのメカニズムは少年漫画の「覚醒シーン」にとても似ている
さて、冒頭でも述べましたが、ストレスは少年漫画のあるシーンに例えると簡単に理解することができます。で、どのシーンと似ているかというと、覚醒シーンです。
よくバトル中に急激にパワーアップするシーンがありますよね?
例えばこれ。
これは「HUNTER×HUNTER」という漫画のクラピカというキャラクターです。この後、このキャラクターは瞬間的に超強力なパワーアップを遂げます。
実は、ストレスがかかった時に起きる反応もこれと同じで、ストレスがかかると人間の体は活性化(パワーアップ)するようにできています。
ちょっと意外ですよね?
ストレスと聞くと悪いイメージが先行してしまいますが、実はストレスがかかること自体はそんなに悪いことではありません。むしろ、高いパフォーマンスを出すためにはストレスが必要です。
しかし、問題はこの後。
急激なパワーアップをはかったキャラはどうなるかというと、だいたい寝込みます。このクラピカもそうです。
こんな風になるのがお決まりのパターンですよね(笑)。
これも一緒で、人間はストレスがかかりすぎる、もしくはストレスがかかった状態が持続すると体調を崩してしまいます。「ずーっとパワーアップした状態でいる」なんて都合よくはいかないんですね。
さて、ここまでがストレスを少年漫画に例えてみた解説でした。簡単にまとめてみると以下の通りです。
- 人間の体はストレスがかかると活性化(パワーアップ)する
- ストレスがかかりすぎると負担にたえられなくなって不調をきたす
とてもシンプルですよね。この内容が頭に入っていれば、このあとに続く詳しい解説にもついていけると思いますので、ここからは少し専門的な内容に触れながら人間とストレスとの関係を話していきたいと思います。
ストレスは交感神経に作用し人間を活性化させる
人間がストレスを感じると体が活性化する理由は、人間の自律神経に原因があります。ここで「自律神経」という言葉がでてきたので、簡単に説明しますね。
人間の自律神経には2種類あります。交感神経と副交感神経です。
で、かなり大まかに説明すると、交感神経は体を「活動モード」にさせ、副交感神経は体を「休息モード」にさせます。
そして、人間はストレスや緊張状態を感じると交感神経が活発に作用するようにできています。
これは、人間が猿だった頃から持っている機能で、危険だらけの野生で生き延びるために備わったものです。
例えば、天敵が現れたとしましょう。その際の選択肢は、
- 戦う
- 逃げる
このどちらかです。逃げるとしたら速く走らないといけない。戦うとしたらパワーが必要です。こうした危機的状況を逃れるためには、体に負担をかけてでもパワーアップしなければならなかったのです。
ストレスや緊張を感じると心臓がバクバクする人もいるかと思いますが、それは身体中に血液を巡らせることによって、高いパフォーマンスを発揮できるようになっているからです。
また、呼吸が早くなる経験がある方もいると思います。これは酸素を多く取り入れ、体を活性化させようとしているためです。
他にもストレスがかかる(=交感神経が優位になる)と様々な症状が現れるのですが、これらはすべて体が活発に動くために現れる症状ということになります。
活性化したままでは体が休まらない
もちろん人間の体は永久機関ではありませんから、どこかで休息しないといけません。しかし、交感神経が優位になってるままでは人間の体はうまく休むことができなくなります。
人間の体が休まるようになるには副交感神経を優位にする必要があります。
しかし、ストレスがかかったままの状態では交感神経が優位になったままですから、副交感神経の働きは低下したままです。こうなってしまうと、体もうまく休息できないため、様々な不調につながるということです。
ストレスがかかると体に現れる現象とは?
では、人間はストレスがかかると体にどんな現象が現れるのでしょうか?
例えば以下のような症状があらわれます。
- 心臓がバクバクする
- 筋肉に血液が集まる
- 血圧が上がる
- 呼吸が早くなる
- 気管支が拡張する
- 消化器の働きが低下する
- 筋肉が緊張状態になる
ざっとこんな症状が挙げられます。いざ「疲れたから休もう」と思っても、交感神経が優位なままでは上記のような状態から抜け出せません。これではいつまでたっても体がうまく休むことができなくなります。
例えば、受験など大事な日の前に限って眠れないという現象。これはストレスによって交感神経が優位になっているため、体が休息モードにならないからです。
逆に副交感神経が優位になると、交感神経とは逆の症状が現れます。例えば以下のグラフの通りです。
交感神経 | 副交感神経 | |
心の状態 | ストレス・緊張 | リラックス |
心臓 | バクバク | 平常 |
血流 | 筋肉に集中 | 内臓や抹消に集中 |
血圧 | 上昇 | 下降 |
血管 | 収縮 | 拡張 |
呼吸 | 早い | ゆったり |
気管支 | 拡張 | 収縮 |
消化器の働き | 低下 | 活性化 |
筋肉 | 緊張 | 弛緩 |
このように、交感神経と副交感神経の働きは真逆になっています。体を休めるためには副交感神経を優位にし、体をリラックスした状態にすることが大切です。
副交感神経を優位にさせ「休息モード」の時間を作ることが大切
これまで述べた通り、ストレスによって交感神経が優位な時間が長くなると、人間の体には大きな負担がかかります。また、交感神経が優位なままでは効率よく休むことができないため、なかなか疲れもとれません。ですから、体を十分に休めるためには、副交感神経を優位にすることが大切です。
また、副交感神経が優位になると胃腸など内臓の働きも活発になるため、体を内側からケアするためにも、副交感神経の優位な時間を設けるようにしてください。
誰でも簡単にできる副交感神経を優位にする9つの方法
では、副交感神経を優位にするにはどんな方法が有効なのでしょうか?ここで、自宅で簡単にできる方法を紹介したいと思います。
1.お風呂にゆっくり入る
お風呂に入り体が温まると、副交感神経が優位になり、体も心もリラックスした状態になります。
さらに、お風呂は睡眠の導入にも効果的です。人間は体温が下がると眠気を感じるようになっており、お風呂から上がって体温が下がっていく過程で自然と眠気を感じます。寝る前1時間ぐらい前の入浴はタイミング的も良いです。
副交感神経が優位になる以外にも、
- 新陳代謝が高まり老廃物が排出される
- 血行が良くなり筋肉の緊張がほぐれる
- お風呂の水圧によって血液の流れが良くなる
- 毛穴が広がり汚れが落ちやすくなる
このような効果を得ることができます。
38〜40℃のお湯にゆっくり浸かるのがベスト
副交感神経を優位にさせるには、38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくりつかるのがベストです。
逆に42℃以上になってしまうと、体が驚いて交感神経が高ぶってしまいますのでお湯を熱くしすぎないように注意しましょう。
2.適度な運動をする
適度な運動には、副交感神経を優位にする働きがあります。
リズミカルな呼吸ができる運動が良い
特にオススメなのは、ウォーキングやジョギングといったリズミカルな呼吸を行える運動です。人間は深くゆっくりとした呼吸を行うと、副交感神経が優位になることがわかっています。ですから、運動の中でしっかり呼吸を行えるような有酸素運動を行うことを心がけましょう。
激しすぎる運動は交感神経が高ぶってしまうので注意
運動がいいと言っても、激しすぎる運動は逆に交感神経を高ぶらせてしまうので注意です。無理しないで自分のペースでできる運動で十分ですので、あまり負荷をかけすぎないように気をつけてください。
3.ストレッチをして筋肉をほぐす
ストレッチを行うことで「カルノシン」というホルモンが分泌され、副交感神経が優位な状態になることがわかっています。
さらに、ストレッチを行いながら、深くゆっくりとした呼吸を意識できれば、より副交感神経を優位にする効果が高まります。
4.深呼吸をする
深くゆっくりとした呼吸を行うことで、副交感神経を優位にできます。
人間の横隔膜には、自律神経が密集しており、この横隔膜を呼吸によって刺激することで副交感神経を優位にすることができます。
ただし、横隔膜を刺激するには複式呼吸が必要です。この複式呼吸を行うためには深くゆっくりと呼吸をしなければなりません。浅く速い呼吸(胸式呼吸)では、逆に交感神経が優位になってしまうので注意しましょう。激しい運動などは胸式呼吸になりやすいため、副交感神経を優位にしたい場合は控えたほうがベターです。
5.冷暖房はゆるめにする
夏の暑い日には、冷房のきかしすぎには注意てください。
人間は暑さを感じると、体温を外に逃がそうと血管を拡張するように副交感神経が優位に働きます。しかし、冷房によって部屋が寒くなりすぎりと、逆に体温を逃さないよう血管を収縮するために、交感神経が優位になってしまいます。
冷房があまりにも強すぎると、ずっと交感神経が高ぶったままの状態になりますので、エアコンの温度設定には気をつけましょう。
6.アロマをたく
アロマの香りには高いリラックス効果があります。イライラした時や眠れない夜などにアロマの香りを嗅ぐことで副交感神経を優位に働かせることが可能です。
また、オイルを炊くだけではなく、以下のような活用方法もあります。
- 体に塗ってマッサージをする
- ハンカチなどに染み込ませて持ち歩く
- マスクに染み込ませておく
- シャンプーに混ぜてみる
このように、工夫次第でアロマオイルの楽しみ方の幅は広がります。自分なりの方法でアロマオイルを楽しんでください。
7.ハーブティーを飲む
ハーブティーの香りにも高いリラックス効果があり、副交感神経を優位にすることができます。
また、ハーブティーはカフェインを一切含んでいないため、寝る前の飲み物としてぴったりです。ホッと一息つきたい時はハーブティーを飲んでみてもいいかもしれません。
8.我慢せずに泣く
人間は泣くことによって副交感神経が優位になるようにできています。泣いたあとにとてもスッキリした気分になった経験は誰もが持っているはずです。
大きなストレスを感じた時は我慢せずに泣くことによって副交感神経を優位にすることができます。
また、日々のストレス発散にわざと泣くことも効果的です。たとえば感動的な映画を見る、泣ける小説を読むなど、自ら泣きにいくこともでも効果を発揮します。ネットでは「涙活」というような言葉も使われ始めています。泣くことをうまく利用して、リラックスした気分を上手に確保しましょう。
9.寝る前のスマホは控える
スマホなどのように、強い光の刺激は交感神経を優位にさせます。スマホだけに限らず、寝る直前まで強い光の刺激を受けるのはなるべく控えるようにしましょう。
逆に言えば、朝に日光の光を浴びることで交感神経が優位となり、1日の始まりをスムーズにスタートすることができます。活動的に過ごしたい方はなるべく日光の光を浴びて1日をスタートさせるようにしてください。
ストレスを軽減するには「セロトニン」を増やす
ストレスによって高ぶった交感神経を抑制するには、リラックスした時間をもうけ、副交感神経を優位にすることが大切ですが、「セロトニン」を増やすこともストレス緩和には効果的です。
セロトニンとは、脳内物質のひとつで、精神や気分を安定させる力を持っています。セロトニンの分泌によって幸福感を感じることもできるため「幸福ホルモン」とも呼ばれています。
セロトニンが不足してくるとストレスに弱くなる
セロトニンが足りている状態では、多少のストレスにも耐えることができますが、セロトニンが不足してくるとストレスに耐えることができなくなります。結果として、情緒不安定になったり、悪いケースではうつ病へと発展してしまうことも珍しくありません。
セロトニンはストレスを感じるたびに消費されるため、ストレス過多になってしまうと、慢性的なセロトニン不足に陥ってしまいます。
セロトニンが不足すると以下のような症状が現れる可能性があります。
- 情緒不安定になる
- 気分が落ち込む状態が続く
- 不眠
- お腹が痛くなる(過敏性腸症候群)
セロトニンを増やす4つの方法
セロトニンを増やすには以下の方法が効果的です。
日光を浴びる
セロトニンに関係する神経は太陽の光を浴びることで活性化します。部屋に引きこもっている状態ではセロトニンが作れなくなってしまいますので、できるだけ外に出て太陽の光を浴びるようにしてください。
リズム運動を行う
リズミカルな運動はセロトニンの神経を刺激し、正しくセロトニンが分泌されるようになります。
先ほども紹介したウォーキングなどは日光の光を浴びながらできる運動ですので、特にオススメしたい方法です。
食生活に気をつける
セロトニンを体内で生成するには以下のような栄養素が必要です。
- トリプトファン・・・牛肉・豚肉・豆腐など
- ビタミンB6・・・カツオ・マグロ・牛レバー
- ビタミンB12・・・しじみ・あさり・海苔
- 鉄分・・・ひじき・しじみ
- カルシウム・・・牛乳・小魚
- マグネシウム・・・わかめ・干しエビ
栄養バランスに偏りがあるとセロトニンがうまく作れなくなりますので、バランスの良い食生活を心がけましょう。
規則正しい生活を心がける
セロトニンは日光の刺激によって分泌される傾向が強いため、日中に多く分泌されるようになっています。
つまり、昼夜逆転した生活になると、セロトニンがうまく分泌されなくなってしまいます。太陽の出ている時間に活動し、夜は寝る。規則正しい生活を心がけましょう。
ストレスが強すぎる場合はセロトニンを増やそう
ストレスが強すぎる場合はセロトニンの分泌がどうしても間に合わなくなってしまう場合があります。そういった場合はサプリメントを補助的に使いながらセロトニンを増やすことが効果的です。
基本的には生活習慣を改善しながら自然とセロトニンをふやすことが理想ですが、サプリメントを利用すればセロトニンを効率よく分泌することが可能です。
また、セロトニンの合成に必要な「トリプトファン」は人間の体内では生成が不可能なため、トリプトファンが不足している状態だとセロトニンも十分に作られなくなります。トリプトファンをサプリで直接摂取することによってセロトニンの生成も活発に行われるようになるため、ストレスの軽減、または精神の安定などが期待できるようになります。
例えばこのような症状がある方は一度サプリメントの導入を検討してみてもいいかもしれません。
- 気分の起伏が激しい
- わけもなく落ち込むことが多くなった
- うまく眠れない・寝付けない日々が続く
- 食生活の改善を始めたばかり
- 夜型の生活をしている
上記のような方は慢性的なセロトニン不足になっている可能性がありますので、セロトニンを増やすことを意識してみることをオススメします。
ストレスを感じたらちゃんと休もう
ここまでいろいろとストレスについて述べてきましたが、一番大切なのは、ストレスを感じたらきちんと休むことです。
冒頭でも述べましたが、ストレスがかかった状態は、体が無理に活性化している状態です。このままストレスが掛かり続ければいずれ負担に耐えられなくなり、体も心ももたなくなってしまいます。
ストレスを感じたらリラックスした時間もきちんと確保し、副交感神経を優位にしてきちんと回復を行なってください。
生きていく中でストレスを感じないで過ごすのはほぼ不可能です。ストレスはなくならないからこそ、ストレスにどう対処するかが大切になります。
ストレスで体や心を壊さないためにも、きちんと休息の時間を作ってご自分の体をいたわってあげてください。
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