潰瘍性大腸炎の症状が悪化した場合、大腸の全摘手術を受ける場合があります。
手術をすることによって今後の生活がどうなるのか不安に思う方は多いのではないでしょうか?
手術をすることで考えられるデメリットは排便回数が多くなることです。しかし、それ以外はメリットのほうが大きく、著しくQOLが低下している患者はやはり手術を決断するべきだと思います。
今回は、大腸全摘手術後の生活にフォーカスを当てて記事を書いてみたいと思います。
もくじ
排便回数は1日5〜6回に落ち着く
手術後に大きく変わるのは、排便回数が増えることです。
手術によって大腸がなくなるので、小腸と肛門をつなぐことになります。ただし、小腸は便をためておく機能はほとんど持っていません。
そのためどうしても排便回数が増えてしまいます。個人差はあるものの、多くの患者の平均では1日5〜6回程度の回数に落ち着きます。
水分を吸収する力が弱まるので軟便になる
大腸は水分を吸収する機能を持っていましたが、その機能もなくなるため、便がどうしても固くなることができず軟便になってしまいます。
便が漏れやすくなるケースもある
個人差はありますが、全摘後軟便になることによって便の漏れに悩まされる患者さんも中にはいらっしゃいます。特に寝ている時に漏らしてしまうケースが多いようです。
食事制限は撤廃される
術後すぐの入院中は流動食から食事を再開しますが、退院して症状も落ち着いてくると食事制限は撤廃されます。
そもそも炎症の原因であった大腸を取り除いたわけですから、炎症の心配はもうしなくていいわけです。
腸閉塞には注意する
ただし、手術を受けた人の中には腸閉塞のリスクをさけるために消化に悪いものは控えめにする必要があります。
妊娠や出産にも大きな影響はない
大腸を全摘したとしても妊娠・出産をすることにも大きな影響はありません。
これまでにも多くの患者さんが自然分娩で出産を行なっています。もちろん場合によっては帝王切開のほうが安全だということもあるのですが、先生ときちんと話合いを重ねれば、お母さんと赤ちゃん両方にとって安全な出産をすることは十分に可能です。
臓器が癒着してしまうと妊娠しづらくなる
ただし、いくらかの注意点はあるようです。
回腸嚢肛門(管)吻合術を受けた患者さんは不妊の割合が増えてしまうという報告があるようです。というのも、手術をするとどうしても癒着といってお腹の中で臓器がくっついてしまうことがあるのですが、卵管が癒着すると詰まってしまって妊娠しづらくなることが確認されています。
ただし、そのような場合には人工授精による妊娠は問題なく成果を期待できるそうです。
むしろ手術をしたことによってこれまでのひどい症状から解放され、出産の機会を得たという方も中にはいらっしゃいますので、前向きに手術を捉えることが大切です。
まとめ
今回の記事の内容を簡単にまとめてみます。
- 排便回数は1日5〜6回に落ち着く
- 水分を吸収する力が弱まるので軟便になる
- 食事制限はなくなるが、消化の悪いもので腸閉塞になることには注意する
- 妊娠や出産にも大きな影響はない
以上となります。
多くの患者さんは手術をするメリットの大きさを感じていて「手術してよかった」と思っている方が多いようです。
手術後は、食事制限もなくなりますし、再燃やがん化の心配からも解放されます。そして普通の人となんら変わりない生活ができるようになるのですから、そう感じるのももっともです。
手術を決断することはそう簡単なことではないですが、正しい知識を身につけて自分の力で手術を決断することが大切なのではないかと思います。
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