潰瘍性大腸炎は、多くの人が寛解と再燃を繰り返す病気です。そして、いつ再燃するかも個人差があり、原因ははっきりとはわかっていません。
しかし、再燃のリスクとなることはある程度わかっており、できれば日常生活でそうしたリスクは避けたいものです。
そこで今回は、再燃のきっかけとなりやすいものをまとめてみました。
また、再燃の初期症状や、いざ再燃した時の対処法についても考えてみましたので、潰瘍性大腸炎んの再燃について多方面から見ていきたいと思います。
もくじ
潰瘍性大腸炎の再燃のきっかけとなる5つのこと
まずは、私たちの身近で再燃のきっかけとなりやすいものを5つあげてみたいと思います。
再燃のリスクとなるのは以下の5つです。
腸への負担が大きい食事
まず、腸への負担が大きい食事は再燃のリスクをあげてしまいますので、十分に注意しましょう。
例えば、以下のようなものはできるだけ避けるべきです。
- 油っぽいもの
- ジャンクフード
- 辛いもの
- アルコール
これらのものは、再燃のリスクとなる可能性が高いですので、控えるようにしてください。もし食べるとしたら、十分に節度を守ることを心がけましょう。普段のおやつなども、できるだけ低脂質のものを選ぶことをオススメします。
また、白砂糖の大量摂取、乳糖不耐症の場合は乳製品も腸にはよくありませんので、注意が必要です。
食べ方では、暴飲暴食は厳禁です。また、夜遅くの食事も消化が悪くなるのでできるだけ控えたほうがいいでしょう。どしても夜遅くの食事になってしまう場合は、消化がいいものを選ぶほうが、お腹への負担は少なく済みます。
食事は腸内環境に大きな影響を与えますので、日頃から腸内環境をよくする食事内容を心がけましょう。
ストレス
ストレスも再燃のきっかけと言われています。
なぜストレスが悪いかというと、ストレスは体に大きな負荷をかけるからです。
とりあえず、今からの説明の大前提として、以下のことを覚えておくと、これからの説明が理解しやすくなります。
- 交感神経=活動モード
- 副交感神経=休息モード
人間の体は、ストレスがかかると交感神経が優位となり、活性化するようにできています。しかし、これはストレスによって無理に活性化させたものなので、体には大きな負荷がかかっています。
きちんと体を休めることができれば大きな問題にはならないのですが、体を休息させるには副交感神経を優位にすることが必要です。ところが、ストレスがかかったままだと、交感神経が優位になっているため、人間の体は休息モードにうまく切り替えられなくなります。
緊張で眠れなくなる経験は誰にでもあると思いますが、あれは交感神経が高ぶっている状態のため、なかなか休息モードにならないためです。
そのため、ストレスがかかったままだといつのまにか体がその負荷に耐えられなくなり、不調をきたしてしまうのです。
また、腸の働きは副交感神経が優位な状態の時に活発になり、交感神経が優位な状態だと弱まると言われています。そのため、ストレスがかかったままだと腸の働きも弱まったままのため、消化機能なども低下してしまいます。結果として腸への負担も大きくなり、再燃のリスクも上がることが考えられます。
睡眠不足
睡眠不足の状態が続くと、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れが生じます。その影響で潰瘍性大腸炎が再燃する可能性があると考えられています。
睡眠時間を十分に確保できる方は、できるだけ規則正しい睡眠を心がけましょう。仕事などでどうしても睡眠のリズムが狂ってしまう場合は、寝れるときに「寝溜め」することも多少効果ありです。どこかで体をゆっくり休める時間を確保することを意識することが大切です。
風邪
風邪が再燃の引き金となることも指摘されています。
手洗い・うがいなど、予防をしっかり行うことが大切です。
食あたり
食あたりも再燃の要因になると考えられています。
消費期限を大きく過ぎたもの、また少しでも怪しいと思ったものは口にしないなど、リスクを減らしていくことが大切です。
再燃するときの兆候や初期症状は何?
では、再燃する時の初期症状はどんなものがあるのでしょうか?
一般的には以下のような症状があらわれやすいと言われています。
粘血便
まずは粘血便です。
潰瘍性大腸炎では、粘血便が典型的な症状のひとつです。粘血便がで始めたら、なるべく腸を安静にしてあげることが大事です。
下痢
下痢も再燃の初期症状としては現れやすいです。ただし、潰瘍性大腸炎以外でも下痢になることはあるので、再燃と決めつけるのは早い場合もあります。
しかし、お腹が弱っていることは間違いありませんので、いずれにせよ腸をいたわってあげたほうがいいでしょう。
微熱
潰瘍性大腸炎の症状が重くなると熱が出る場合があります。
自分の経験では、再燃時に37℃代の微熱が出続けたこともありました(その時は全体腸炎型までなった結構重めの再燃)。
風邪と勘違いして放置してしまいやすいので、その他の症状にも気を配って慎重に経過を見ることが大切です。粘血便など風邪とは違う症状もで始めたらできるだけ早めに病院に行ったほうがいいでしょう。
トイレの回数が増える
潰瘍性大腸炎の症状が重くなると、トイレの回数が増える場合があります。経験ある方はわかると思いますが、1日に10回以上になることも珍しくありません。自分は再燃時に1日20回以上のトイレの回数になったこともありました。
トイレの回数があまりにも多い場合は、初期症状というよりも、症状が重くなっている可能性もありますので、早急に病院に行くことをオススメします。
再燃時の正しい対処法は何?
では、「再燃したかな?」と思ったらどのような対処があるのでしょうか?
病院に行く
大前提として、迷わず病院にいくことが大切です。
もし下痢や吐き気などの症状が重篤すぎる場合は、脱水によって危険な状態になる可能性もありますので、場合によっては救急外来を使うのもやむ無しだと思います。
水分補給はしっかり行う
再燃時は特に下痢などの症状がひどくなりやすいです。そういう場合は体の水分がどんどん失われていきますので、必ず水分補給を行いましょう。飲んだ水分を戻してしまう場合は点滴の必要性も考えられますので、早めに病院に行ったほうがいいかと思われます。
あまりにも冷たすぎる水は腸を刺激しますので、常温の水、あるいは温かい白湯などを飲むようにしましょう。
腸にやさしい食事をこころがける
再燃の兆候が見られた場合は、腸が弱っている可能性があります。できるだけお腹に優しいものを食べるようにしましょう。
潰瘍性大腸炎の食事では、「低脂質・低残渣・低刺激・高カロリー」が基本となります。これらを満たすような食事にすることが理想です。
再燃時に断食するのは効果がある?
潰瘍性大腸炎で入院をすると、断食をすることも多いです。再燃時には腸管が炎症を起こして弱くなっている状態ですから、断食して腸管を休めることは一定の効果があります。
断食する時は医師の指導を仰ぐように
ただし、断食を行う時は、医師の指導を仰ぐことをオススメします。
断食すると栄養源が絶たれてしまいます。入院中は点滴が栄養源となっているのですが、自宅で行うとそうしたものもありません。1〜2日はスポーツドリンクなどでしのげますが、長期間にわたる断食は栄養不足になる可能性も否定できません。
自宅で断食をする時は、必ず医師の指導のもとで行うようにしましょう。
再燃したら仕事はどうする?
社会人は、休みたくてもなかなか休めないというのが本音でしょう。
そうした場合に潰瘍性大腸炎とどう付き合っていくかは非常に重要なことです。
個人的な意見になりますが、再燃したらこのような対処をとったほうがいいと思います。
事情を説明する
まず、会社には再燃したことをはっきり言うべきかと思います。その上で、回復に弊害となる業務を行なっているのであれば、調整してもらうようにお願いするのがベストです。
例えば、夜勤を減らしてもらう、残業せずに上がらせてもらう、トイレに駆け込みやすい業務にしてもらう、など、調整は必要かと思います。
会社に事情を説明できるような環境を整えておくためにも、入社の時にはきちんと自分の病気をカミングアウトしておくべきだと個人的には思っています。会社に伝えているほうが、こうした緊急の事態に隠さずに事情を説明できますから、メリットは大きいと思います。
早期回復をこころがける
あとは、社会人として早期回復に徹底するのは絶対です。
お腹に優しい食べ物を食べる、睡眠を十分にとる、疲れを溜めない、安静にする。こうした自己管理をしっかりと行うことは非常に大切です。
会社が業務調整などに応じてくれる場合は、安静にする期間を確保してくれたんだ考え、くれぐれもその思いを裏切るような行為はしないようにしましょう。
再燃の期間や回数は個人差がある
再燃の期間や回数は個人差があります。どれぐらいで寛解するかも、はっきりとはわかりません。
ただし、きちんと正しい処置を行なっていけば、高い確率で寛解は期待できます。寛解まで長い時間を要することも珍しくありませんが、根気強く医師の指導のもと、治療を継続していきましょう。
季節によって再燃しやすいは本当?
ちなみに、季節によって再燃しやすい時期はあるのでしょうか?
はっきりとした因果関係があるわけではありませんが、個人によっては季節によって体調に変化が生じることは否定できません。
例えば、「梅雨に再燃しやすい」と悩みを持つ患者さんは一定数いると言われていますが、梅雨は気圧の変化が激しく、知らない間に自律神経が乱れやすくなる時期です。これは一般的には「気象病」と呼ばれています。
自律神経の乱れによって副交感神経への切り替えがうまくできず、交感神経が優位な状態が続くと、腸の働きは弱まったままです。結果として腸内環境の悪化などにつながり、再燃することも否定できません。
これはひとつの例ですが、個人によっては季節によってストレスを大きく感じ、それが再燃の引き金となることもあります。ストレスの対策としては、リラックスした時間を作ること、また質の良い睡眠をとることが大切ですので、自分なりの方法でリラックス、そして安眠できる方法を見つけるようにしてください。
まとめ
以上が潰瘍性大腸炎の再燃のきっかけと対処法についてでした。
個人的には、再燃のきっかけは食事によるケースが多いと感じています。自分はうなぎとサーモンという脂っぽい魚を同時に食べた時は結構重めの再燃になった経験があります。これはひとつの例ですが、「脂の取りすぎで再燃する」「アルコールで再燃する」など、自分の傾向がつかめれば、今後はそれを避けるようにすることができます。長い人生ですから失敗することもあると思いますが、失敗を財産と捉えて、次からは失敗しないようにしていくことも大切です。
また、再燃がひどい時は下痢などにより脱水症状になりやすく、場合によっては入院が必要なこともあります。1日に何十回もトイレに行くような場合はかなり炎症がひどくなっていることも考えられますので、できるだけ早期に病院に行くようにしましょう。
あとは、再燃しないように寛解維持を心がけることも大切です。薬はきちんと飲むことは大前提として、日頃から食事に気をつける、腸内環境を意識する、ストレスを溜めない、睡眠をしっかりとるなど、体調管理はしっかりと行うことが大切です。
できるだけ自分の体に負荷をかけないよう、また失敗してしまいやすいポイントを把握することで、長期の寛解維持につながります。潰瘍性大腸炎とうまく付き合って行くためにも、日頃から体調管理を意識した生活を心がけましょう。