「おならが止まらない」「おならが臭い」
潰瘍性大腸炎になると、このような症状に悩む方がいるようです。
しかしながら、どうしてこのような症状が起きるのでしょうか?実はこれらの原因、腸内環境が悪化しているせいかもしれません。
そもそも潰瘍性大腸炎患者の腸内環境は悪化しやすい傾向にありますから、おならの異変をきっかけに腸内環境の改善にとりかかるのもありですね。
今回は、腸内環境とおならの関係について書いてみたいと思います。
もくじ
おならの正体は腸内で発生したガスと口から入り込んだ空気
おならは腸内で発生したガスだと思っている人が多いと思いますが、実はおならの7割は口から吸い込んだ空気でできています。残りの3割が食べ物を分解する際に生じたガスとなります。
ちなみに、おならの成分は以下の通りです。
- 窒素
- 酸素
- 二酸化炭素
- メタン
- その他のガス
- 腸内細菌
おならの匂いのもとはこの中では「その他ガス」に分類されるものなのですが、おならの成分としては1%ぐらいしかふくまれていないんだそうです。また、おならをすることで数千〜数万の腸内細菌も同時に排出されると言われています。
おならがあるおかげで私たちの腸は刺激され、便を肛門のほうへとどんどん押しだしてくれます。おならが出ないと便秘などにもなりやすくなるため、おならが果たす排便への役割は大きいです。
おならが止まらないのはなぜ?
私たちは、おならを1日に5回〜20回程度出していると言われています。これよりもおならの回数が多い人は、少しおならの出過ぎかもしれません。
では、おならの回数が多くなる原因はなんなのでしょうか?それに対しては、以下の2つが考えられます。
1.空気を多く取り込んでしまっているから
まず、口から多くの空気を取り込んでしまっていると、おならの回数は増えてしまいます。
早食い
早食いになると、口から入る空気の量が多くなると言われています。また、良く噛まないことも空気をお送り取り込んでしまう原因のひとつです。
すすり飲み・すすり食い
熱めのお茶などを飲む際、または麺類を食べる際、無意識のうちに「ズズズ」とすすっている方は多いと思いますが、こうした食べ方・飲み方は多くの空気を取り込む原因となります。
炭酸の摂取
当然ですが、炭酸飲料には炭酸ガスが入っていますので、摂取することによって空気を大量に取り込んでしまいます。
空気嚥下症などの疾患
空気嚥下症とは、余分な空気を飲み込んでしまう病気です。原因は精神的ストレスの部分が大きいと言われています。
2.腸内で大量のガスが発生しているから
もうひとつの原因として、腸内で大量のガスが発生していることも考えられます。
腸内でガスが発生してしまう原因は以下の通りです。
ガスが発生しやすいものの摂取
ガスが発生しやすい食べ物を食べると、当然腸内では大量のガスが発生します。
例えば、食物繊維を摂取しすぎるとおならがたくさん出るようになります。これは腸内にいる善玉菌が食物繊維を分解する際に発しているガスです。特に、イモ類や豆類などはガスを発生させやすいと言われています。
また、肉などの動物性タンパク質もガスを発生させやすいです。動物性タンパク質は悪玉菌によって分解されることとなり、匂いも臭いのが特徴です。
腸の機能低下
腸の機能が低下することも、ガスの発生を促してしまいます。例えばストレスで交感神経が高ぶっている場合、また潰瘍性大腸炎やクローン病、過敏性腸症候群などの疾患を抱えている場合は、おならの回数も多くなりやすいと言われています。
おならが臭くなる原因は?
では、おならの匂いが臭くなる原因はなんなのでしょうか?
おならが臭くなる原因は大きく3つにわけることができます。
臭い成分を発しやすい食べ物の摂取
まず、臭いガスを発生させやすい食べ物を摂取すれば、当然おならも臭くなります。
例えば、次のような食べ物は臭いを発生させやすいです。
- 肉
- 牛乳
- にんにく
- 玉ねぎ
- にら
- お酒
これらの食べ物は腸内で分解される際に臭い成分を発しやすく、臭いおならの原因となります。
潰瘍性大腸炎などによる腸内の炎症
潰瘍性大腸炎やクローン病などでは腸内の炎症によっておならが臭くなる場合もあります。
腸内に炎症があると、臭い成分である硫化水素が発生しやすくなるため、おならの中の硫化水素の割合が増えてしまいます。結果として、排出されるおならも臭くなるというわけです。
ちなみに硫化水素は、腐った卵のような匂い・温泉の匂いと例えられることが多いです。
腸内環境の悪化
最後に腸内環境の悪化が挙げられます。
腸内環境の悪化とは、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが悪くなっていることです。
私たちの腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つのグループの細菌が住んでいますが、これらの菌の理想的な比率は2:1:7となっています。
ところが、乱れた食生活や病気の影響によって腸内環境が乱れてしまうことがあります。その影響としておならが臭くなってしまうことがあるのです。
悪玉菌が発生させるガスが臭いおならの原因
ちなみに、腸内環境の悪化によっておならが臭い場合は、悪玉菌が発生させるガスが匂いのもとです。
食べ物を分解してガスを発生させることは、善玉菌も悪玉菌も変わりません。ただし、善玉菌が発生させるガスは基本的には嫌な匂いは伴いません。臭いの原因となるのは、悪玉菌が発生させるガスです。
悪玉菌は、食べ物を腐敗させる力をもっていて、その腐敗させた際に生じるガスは臭い原因のもとです。
また、動物性タンパク質、動物性脂質は悪玉菌の大好物であり、これらの食べ物を食べても臭いおならが出るようになります。
潰瘍性大腸炎のためにも腸内環境は意識しよう
おならの臭いを改善させるには、腸内環境の改善を意識してみるのもひとつの方法です。
また、腸内環境が改善されることで免疫力機能が正常化し、潰瘍性大腸炎の炎症や症状を緩和できることも期待できます。
なので、できるだけ腸内環境を意識した生活を心がけましょう。
いい腸内環境を保つためには次の2つを意識することが有効です。
野菜や果物の摂取を意識する
野菜には食物繊維が豊富に含まれていますが、食物繊維は腸内の腐敗物や悪玉菌をデトックスする効果を持っています。食物繊維を摂ることで腸内が掃除されてキレイになることが期待できますので、できるだけ野菜の摂取は意識しましょう。
水溶性食物繊維の摂取をこころがける
活動期で食物繊維の摂取が不安だという方は、水溶性食物繊維(ペクチン)の摂取を心がけてみてください。ペクチンは腸への負担が少ないにも関わらず、腸内環境を整えてくれる力をもっています。
ペクチンが多く含まれる食材は以下の通りです。
- りんご
- 桃
- いちご
- 洋梨
- さくらんぼ
- 柿
- アボカド
- 納豆
- おくら
- ひじき
- わかめ
- もずく
- 昆布
これらの食材の摂取を意識して、腸内環境の改善に取り組みましょう。
乳酸菌の摂取を心がける
乳酸菌を摂取することで、腸内環境を整えることができます。
乳酸菌には、悪玉菌の増殖を抑えたり、腸内の腐敗物を排出させる力があります。また、乳酸菌の摂取により、腸内に住んでいる善玉菌が増えることも報告されていますので、乳酸菌の摂取は意識して行いたいものです。
また、乳酸菌は、食物繊維やオリゴ糖などを分解する際に、短鎖脂肪酸という物質を生産します。この短鎖脂肪酸は、潰瘍性大腸炎の症状緩和に効果があることが研究によってわかっているので、潰瘍性大腸炎では、乳酸菌の摂取は積極的に行いたいものです。
ヨーグルト、場合によっては乳酸菌サプリを上手に使って、腸内環境の改善に取り組みましょう。
ちなみに、乳酸菌サプリはどのサプリを選ぶかによって効果は全然違います。しかも、潰瘍性大腸炎に効果的なサプリ選びとなると見るべきポイントも普通のサプリ選びとは少し変わってきますので、正しい知識のもとでサプリを選ぶことが大切です。
まとめ
以上、潰瘍性大腸炎とおならの関係でした。
潰瘍性大腸炎のように、腸に炎症があるとおならが臭くなってしまうのは、どうしてもしかたのないことです。
しかし、腸内環境の悪化が原因になっておならが臭い場合は、できるだけ腸内環境の改善を意識したほうがいいと思われます。
上述したように、腸内環境の改善は潰瘍性大腸炎の症状緩和にも繋がります。また、腸内環境をいい状態に保っておけば、普段の健康維持にも広く波及効果を得ることができます。
おならの臭いがきっかけとなって腸内環境を意識してみるでも全然構わないと思うので、これをきっかけに正しい食生活と乳酸菌で腸内環境の改善を意識してみましょう。
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